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新型コロナウイルス検査についての当院のスタンス(2020年3月 1日)
みなさま、こんにちは。
そろそろ、新型コロナウイルスのPCR検査が保険適応になるという話が出ています。
こういった情報がマスコミなどを通じて広がることによって、今後、「不安なので、検査してください」とクリニックに来院される患者さんが増えることも予想されます。
そして、外来ではそれについて説明をさせていただくわけですが、限られた診療時間で充分説明できるかわかりませんので、こちらにある程度書かせていただこうと思いました。
なるべく多くの方に理解いただきたく、書こうと思います。
長文になりますが、ご容赦ください。
まず、新型コロナウイルス検査が保険適応になったとします。
そして、クリニックでも検査ができることになりました。
さあ、当院にも検査希望で来院される患者さんがいます。
でも、当院では当面、検査はしません。というか、できません。
この検査をするためには、鼻に綿棒突っ込んでグリグリと検体を取るか、咽頭をグリグリと拭うか、などの接触が必要になります。
こういった手技をするためには、国立感染症研究所から感染管理ガイドラインが出ています。
新型コロナウイルス感染症に対する感染管理(2020年2月21日改訂版)
その中には、こう書かれています。
患者の気道吸引、気管内挿管、検体採取などエアロゾル発生手技を実施する際には N95 マスク(または DS2 など、それに準ずるマスク)、眼の防護具(ゴーグルまたはフェイスシールド)、長袖ガウン、手袋を装着する
こんな感じです。
検査をするには僕が、この格好になって、検査をして、検体を安全性を担保できるような容器に保存して、そしてまた検査終わったら、感染拡大を防ぐべく、セーフティーゾーンでガウンなどを脱いで、安全に処理をしないといけません。
上記の感染管理ガイドラインには、こうも書いてあります。
・N95マスクの使用に際しては事前のフィットテストと着用時のシールチェックを行い、マスク、ゴーグルまたはフェイスシールド、長袖ガウン、手袋などのPPEを脱ぐ際の手順に習熟し、汚染されたPPEにより環境を汚染しないように注意する。手指衛生を実施しないまま、自身の眼や顔 面を触れないようにする。
これだけの物品はクリニックにありませんし、手順の習熟もできていません。
つまり、今回の新型コロナウイルスの検査については、一般のクリニックで行なっていい検査ではないとご理解いただきたいのです。
保険適応になっても、検査の対象は、厳密に選択された方ということです。
これだけの管理をした検査をできる体制は、地域ごとに限られた施設になります。
新型コロナウイルスがかなりの確率で疑われ、重症化している、もしくは重症化する可能性が高い方を、限られた施設で検査をする、そういう状況であると考えてください。
検査をしてほしい、する意味がある、する意味はない、などなどそれぞれの思いはあると思います。
検査の意義については、また別にブログに書きます。
今回のブログで強調したいのは、新型コロナウイルスの検査は、通常診療のクリニックでは不可能だということです。
また、そういった状況を踏まえて、もう一点、お願いがあります。
現在は、これからのさらなるパンデミックを防ぐ時期、各地で新型コロナウイルスが広がり始めているタイミングということを理解してください。
つまり、街の中、電車の中、クリニックの中、どこにでもいる可能性があるのです。
たいていの人には、ただの風邪を引き起こすだけのウイルスです。
それでも、高齢の方、免疫力が落ちている方、などは、肺炎を起こしたり、それが悪化してしまうことがあります。
ちょっと検査がしたい、ちょっと体調が悪いという方がクリニックに来ると、そこで逆にもらってしまう可能性、(自分がそうかもしれないので)高齢者に移してしまう可能性もあります。
まあ、今の体調だったら、まだ受診しなくても大丈夫かな、と思う症状であれば、自宅療養をお勧めします。
そして、その他の風邪である、インフルエンザ、溶連菌感染などなど。
これらの病原体による症状を心配されて来院される方もいらっしゃるでしょう。
そして、今までインフルエンザ迅速検査、溶連菌迅速検査、アデノウイルス迅速検査などなど、させていただいておりますが、もしかしたら、こういった症状の方の中にも新型コロナウイルスが原因の可能性も含まれています。
そのため、あれ、コロナかもしれない、と思うような方の検査をする場合には、やはり先ほど書かせていただいたガウンテクニックをしないといけないということになるのです。
現時点で、クリニック内で新型コロナウイルス陽性の患者さん、もしくは医療スタッフが出た場合には、14日間クリニックをクローズしないといけないという可能性もあります。
その点を踏まえて、インフルエンザ、溶連菌などは、ドクターが診察して、臨床診断で対応し、検査はしないという対応をさせていただく可能性もあります。
この点をご理解いただきたいのです。
もう一度繰り返します。インフルエンザなどの検査を希望して来院されても、検査をせず、診察だけで治療方針を決定させていただくことがあるということです。
どうぞ、こういう時期なので、不自由なことも多いですが、ご理解ください。
みんなで協力し合い、この局面を乗り切りましょう!!