新型コロナウイルス感染症について、神戸市立医療センター中央市民病院(同市中央区)の研究チームが2日、外来患者千人の血液検査で、3・3%が抗体を持っていたと明らかにした。4月上旬までに、市民約4万1千
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神戸市民4万人に感染歴か 試算の病院長「公表患者260人と隔たり。本当に大きな驚き」
新型コロナウイルス感染症について、神戸市立医療センター中央市民病院(同市中央区)の研究チームが2日、外来患者千人の血液検査で、3・3%が抗体を持っていたと明らかにした。4月上旬までに、市民約4万1千人に感染歴があった計算になる。この結果を受け、同院の木原康樹院長が3日、神戸新聞社のインタビューに応じた。主なやり取りは次の通り。(霍見真一郎、井川朋宏)
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-なぜ新型コロナの抗体検査を実施したか。
「どのぐらいの人が新型コロナと接触し、免疫を獲得しているかは、現時点で日本ではほとんどデータがない。それは、緊急事態宣言をどの地域で、どう解除するかと密接に関係しており、基礎的なデータになると考えた。結果の精度や、免疫を獲得したことと同じかどうかは議論が必要」
-企画した経緯は。
「緊急事態宣言の前で、(中央市民病院で)院内感染が発生する前に企画していた。国内の感染に関して比較的初期のデータを狙った。国内の伝播(でんぱ)の痕跡を把握するために、抗体をチェックする手段があるので、調べようということになった。既にある患者の血清を使うことができたら、完璧とは言えないが、地域住民の病気の分布を推測することに役立つ」
-外来患者の検体は、一般市民と比較してバイアス(偏り)がないか。結果をどう受け止めるか。
「一般の元気な人と、何らかの病気がある通院者が同等ではないと考えなければいけない。市民から任意で抽出したサンプルとは、いろんな意味で偏りがあると認識した上で、(データで示された)4万人と(2日時点で神戸市が公表した患者)260人には非常に大きな隔たりがある。本当に、大きな驚きだ」
「外国の値ともそう矛盾しないデータかもしれない、と考える。患者数は米国、中国などに比べて随分少なく抑えられているが、その値(今回の結果)が真実であれば、ウイルスとの接触はそれほど大きな差がないことになる。重症の患者がかなり低く抑えられているというのは、私たちの国はうまくいっていると言えるのかもしれない」
「神戸市で4万人が感染していれば死亡率は随分低くなる。評価は変わってくる。国策としてこれからどの時期にどう解除するか、根拠は何かということに関して、一石を投じるデータではないかと思う」
-市中感染が広まっている認識は。
「さまざまな場面で、実はわれわれの体はウイルスに接触していると考えるべきだ。PCR検査で陽性だった人以外が、全く病原体に接触したことがないという考え方は違う」
「どちらかというと、これは非常にラッキーなデータ。感染拡大初期に行ったデータで既に3%に達していた。そこから1カ月がたってどう変化したのか大変興味がある。もしかしたらもう少し高いデータが出ている可能性があることは、大いに考えられる」
「今置かれた環境の客観的データが増えるほど、私たちはより科学的な武装ができる。ニューヨークや東京のデータとは違い、足元のデータは極めて大事というのが医療者としての認識」
-PCR検査に比べ、抗体検査をどう見るか。
「比較の問題ではなく、見ているものが違う。PCR検査はウイルスがいるかいないか。ほかに方法がないから便宜的に使っている。限界があるし、それを持って判断していると、実は間違ったことをやっている可能性は大いにあると医療現場で思う」
「抗体検査は体がどう反応しているか。抗体を持つかどうかで、患者であるかどうか今、判断するレベルではない。ある集団に関して、このうちの何割が抗体を持っていたという言い方はできる」
-今後に向けて。
「マスクを外したり、『3密』を解いたりすることが可能かどうかは、医療者として、しばらく継続が必要だろうと思う。それは、3・3%という抗体検査のデータが正しいとして、集団免疫ができる70%にはほど遠いから。どこで制限を解除するかは政治家の判断」
「(PCR検査の)陽性者だけがかかっていると見る世界とは、違う裾野の世界が、現在進行形で広がっているという認識は大事。ワクチンなどの抗体を提供できる時期が来れば大変よろしいし、きっと来る。それまでは動向を見極めることが必要だ。具体的なちゃんとした情報発信をしていくことが、私たちの仕事だ」
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