「人を幸福にするものは何か?」という問いかけは、多くの研究者のテーマです。これとは別の角度から、30年間にわたって「幸せになりたい」という人の悩みを聞き続けた精神科医が、「人を幸福から遠ざけるもの」について語っています。
Life Lessons From a Psychiatrist Who’s Been Listening to People’s Problems For Decades
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国連の持続可能開発ソリューションネットワークが発行する幸福度調査「World Happiness Report」の2012度版では、「『自分は他の人よりも幸福だ』と感じるには、『選択の自由があること』が重要な役割を担う」ということが示されました。「あきらめることあきらめてはいけないこと – 人生が変わる30の言葉」の著者であり、30年にわたって患者の悩みを聞き続けた精神科医のゴードン・リヴィングストン氏も、著書でこの点に言及しています。
by Olga
ソクラテスは「The unexamined life is not worth living(生きているだけでは人生の意味がない)」という言葉を残しましたが、リヴィングストン氏は精神科医として働くなかで、多くの人が人生を「自動化して」生きており、「昨日うまくいかなかったことを繰り返す毎日」を送っていると説明しています。不幸を訴える人の多くは自分の行動が自分自身や周りの人、そして自分の幸福にどう影響しているかを考えることをやめてしまっているとのこと。このような日常のサイクルに一度入り込むとなかなか出ることができず、ゆえに意味ある人生を歩むのが難しくなります。
うつの症状に効果的な治療法は存在しますが、薬が幸せをもたらすわけではない、とリヴィングストン氏は述べています。幸福とは「絶望がないこと」ではなく、「自分の人生には意味と喜びがある」と人生を肯定的に捉えることであるためです。
幸福や健康のカギとなるのは「自分の人生に意味がある」と感じることだとする研究結果 – GIGAZINE
「私たちは通常、自分に値するものではなく、自分が予想するものを受け取る」とリヴィングストン氏。不幸を語る人の多くは自分の気分がどうすればよくなるかを理解しています。彼らが有意義な日常習慣を行わないのは、「その価値を無視している」ためではなく、「実行に移すためのモチベーションを持たない」ためとのこと。リヴィングストン氏は自身の経験から、このような人々は気分がよくなるのを「待っている」のだと理解しています。
これをふまえ、リヴィングストン氏は幸福の3つの要素として、「すべき仕事」「愛する人」「楽しみなこと」を挙げています。意味のある仕事をし、人間関係を保ち、楽しみな約束がある時、不幸を感じるのは難しいもの。この時の「仕事」は有償・無償を問わず、自分に意味を与えるあらゆる行動を含みます。
そして、「感情的な困難を抱える人の特徴は、彼らが自分自身を幸せにする選択を行う能力を失ったか、失ったと信じていることです」とリヴィングストン氏は述べました。しかし、幸福な人生を送っていようが送っていまいが、人は自分の人生の責任を取る必要があります。多くの人は、今いる「安全地帯」の外に出ることに恐怖し、立ち往生しています。もちろん、幸福を生み出すまでには、新しいことを学び、古い行動を変え、新しい人間関係を構築するなど、多くの時間を要します。恐怖を克服することは、望まない不幸を何とかする唯一の解毒剤になるとのこと。
by ThePixelman
「最も安全な刑務所は、私たちが自分たちのために作る刑務所です」「私がリスクを嫌う人々に『これまでにあなたに行動が移した最大のチャンスは?』と尋ねると、彼らは自分が自分が歩む人生の安全な選択肢を取ってきたことに気づきます」「あなたが恐れているもの、満たされない夢が、今のあなたとあなたの将来を制限します。恐れや不安は、私たちを幸福から遠ざけます。私たちの人生の多くは、自分に対して自分自身が果たさなかった約束で作られます。勉強し、仕事で成功し、恋に落ちる……といった目標は多くの人が持っているもの。目標を達成する手段も不明瞭ではありません。ただ私たちは、なりたい自分になるのに必要なことをしばしば行わないのです」という言葉をリヴィングストン氏は送りました。
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